当ブログは"ひとつのゲームを語り尽くす"をコンセプトに管理人SHOと謎の少女ミコが語るサイトです。時々小説。
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プレイしながら小説を書く企画の第一弾、アクションアドベンチャーゲームの名作である『ゼルダの伝説』の第2話です。
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リンクが次に入った洞窟はよろず屋が店を構えていた。
「なんか買うてくれや」
陳列された品物はどれも役立ちそうなものばかりに見えたが、今のリンクに買えるものはない。それに店主のなまりが商品の値段に疑問を抱かせる。リンクは薄笑いを浮かべる店主を一瞥すると逃げるようにその場を後にした。
北へ向けてしばらく進むと湖があり、そこに浮かぶ岩で覆われた島が目についた。リンクは橋を探して島へ上陸する。中央には朽ちた巨木が鎮座し、その正面にはまるで口を開けたような空洞があった。
(気味が悪いな)
リンクは勢いだけでここまで来たことに少し後悔の念を抱きながら巨木に飲み込まれていった。
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リンクが次に入った洞窟はよろず屋が店を構えていた。
「なんか買うてくれや」
陳列された品物はどれも役立ちそうなものばかりに見えたが、今のリンクに買えるものはない。それに店主のなまりが商品の値段に疑問を抱かせる。リンクは薄笑いを浮かべる店主を一瞥すると逃げるようにその場を後にした。
北へ向けてしばらく進むと湖があり、そこに浮かぶ岩で覆われた島が目についた。リンクは橋を探して島へ上陸する。中央には朽ちた巨木が鎮座し、その正面にはまるで口を開けたような空洞があった。
(気味が悪いな)
リンクは勢いだけでここまで来たことに少し後悔の念を抱きながら巨木に飲み込まれていった。
"LEVEL-1"と刻まれた柱に手をかけながらリンクはぐるりと頭を巡らせた。タイルが敷き詰められた空間はダークブルーの光に満ちている。正面の扉には鍵がかかっており、周囲を探してみたが、鍵らしきものは見当たらなかった。
先に隣接した西の部屋へ入ると、蝙蝠の群れがリンクに襲い掛かってきた。不規則に飛ぶ蝙蝠が光の刃により一匹、また一匹と墜落していく。最後の一匹が地面に叩きつけられた時、辺りに甲高い音が響いた。それはごくシンプルな形の鍵だった。
(どおりで見つからないはずだ)
リンクはほこりまみれのグローブで鍵を拾い上げる。先端に付着した糞に気付くと、さりげなく石像に擦りつけてから道具袋へ入れた。
東の部屋でも同じ鍵を手に入れたリンクは入り口正面の扉に鍵を差し込む。扉は鍵を吸い込むと重々しい音と共に奥へ続く道を開放した。
しばらく進んでいくとリンクの目の前に新たな扉、シャッターが立ちはだかる。
(鍵穴がない?)
近くの壁や柱を調べてみたが、仕掛けらしきものは見当たらない。リンクは少し休憩しようと中央のブロックに背を預けた時だった。
(ん? なんだこれ、動くのか?)
リンクはブロックを思い切り押してみた。するとブロックはゆっくりと動き出し、ある地点まで移動させるとシャッターが勢いよく開いた。
シャッターの奥の光景にリンクは言葉を失った。魔物が巣食う迷宮に人間が、しかも老人がたったひとりでいたことの驚きからだった。
リンクは恐る恐る老人に近づく。
「あの、こんなところでなにを?」
老人はリンクの声にゆっくりと視線を向けた。
「お金がなくなれば、矢は使えない」
老人はそれだけを言うと、だんまりを決め込む。
「はぁ」
弓も矢もないリンクにとって、その助言は的外れでしかなかった。
(このじいさん、ボケてるのかな?)
怪訝な表情を浮かべるリンク。老人は背を向けて戻ろうとするリンクを横目にぼそりとつぶやく。
「貧乏人に話しても無駄か」
遠ざかる足音がピタリとやんだ。次の瞬間、怒りに震えるリンクが無言のまま老人に光の刃を放つ。直撃したかに見えた一撃はすんでのところでかき消されていた。
「ふん、ケツの青いガキが。わしに牙を剥くとは百年早いわっ!」
老人の両脇にある炎が勢いを増すと、そこから収縮された魔力が矢継ぎ早に打ち出される。
「うそぉっ!?」
リンクは弾幕の中から脱兎のごとく逃げ出す。老人は小さく欠伸をするとリンクの慌てふためく姿をせせら笑った。
予想外の反撃を受けたリンクはぼろぼろになった体を引きずって歩く。傷は魔物から受けたものの比ではない。
(何者なんだ、あのじいさん)
閉じたシャッターにうっぷんを晴らすとさらに奥を目指した。マップを拾い、そこから北へ向かうと隠し部屋に弓を発見した。
(……)
リンクはあからさまに顔をしかめたが、なにかを忘れるように頭を振ると元来た道を引き返した。
「お?」
リンクは床に落ちていたブーメランを手にする。魔物の落し物らしかったが、せっかくなので持っていくことにした。射程距離は短めだが体力が減っている時には助かるし、なにより楽しいというのが一番の理由だった。
◇
リンクはその部屋に入った瞬間から異様な緊張感に包まれていた。鳴き声がする。それも壁越しながらかなりの大きさで部屋全体が振動する。
(宝の守護者ということか)
リンクは扉の鍵を開けようとしたとき、なにか気配を感じて横を向いた。すると外壁から巨大な手が染み出すように現れ、リンクに襲いかかるところだった。リンクは後退しながら冷静に剣を払い、手の化け物を撃退する。
「あぶない、うしろ!」
その声に反応して振り返ると、さっきと同じ巨大な手が間近まで迫っていた。
「こいつ!!」
体勢を整える余裕がないと判断したリンクは横っ飛びで距離を取った。すると巨大な手はリンクに近づこうとはせず、そのまま壁の中へ消えていった。
「どうなってるんだ?」
「あいつらは壁のまわりでしか動けないのよ」
リンクは首を巡らせて声の主を探した。だが、その存在を捉えることができない。
「ここよ」
見上げると妖精が腕組みをしていた。ピンク色の癖っ毛を揺らしながらリンクの肩に乗る。
「助かったよ、フィー」
「それはお互いさま。あたしも手のお化けに捕まっていたの」
フィーネはぽりぽりと頭をかいた。
「しかし、本当にフィー以外の妖精は口を利いてくれないんだな」
「それはそうよ。あたしが変わってるだけ」
「どうしてフィーは僕に声をかけたんだい?」
「どうしてってそれは――」
フィーは言いかけてすぐに全身を硬直させる。断続的に響く吼え声がまた一帯にこだまする。
「あいつと戦うんでしょ? じゃあ目を閉じて」
リンクは言われた通りにすると、体中から疲れと傷が薄らいでいくのを感じた。
「またね」
脳裏にフィーの姿が現れて弾けた。菜の花のようなフィーの匂いがリンクの緊張を解きほぐしていく。
「……いくか」
目を見開くと扉に鍵を差し入れた。先ほどとは比べ物にならない咆哮が耳をつんざく。一角獣アクオメンタスがそのグリーンの巨体をあらわにした。
リンクは素早く間合いをとると、光の刃で先手を打つ。アクオメンタスも雄叫び上げながら複数のビームを同時に放っていく。リンクはすんでのところでかわすとまた一撃、二撃と加えていく。
(これならいける)
相手の攻撃を見切れると確信したリンクは間合いを詰める。だが、グリーンモンスターはその油断を見逃さなかった。
「ぐぅっ!」
ビームはリンクの肩を捕らえた。飛び退きながら剣を振るうが体力が充実していないために光の刃は出せない。ブーメランを投げてみるが焼け石に水。アクオメンタスの攻撃は両サイドにも及ぶため、迂回して接近するのは難しかった。
防戦一方のリンクは辺りを見回した。後方にはビームによって抉られた床の破片が散乱している。その時、リンクの脳裏にあるひらめきがはしった。
(賭けだけど、それしかない)
アクオメンタスがビームを発射した瞬間に合わせてリンクは突進する。姿勢を限界まで低くするとそのまま前方へ飛び込んだ。ビームは帽子を弾いただけで後方へそれる。リンクは肉薄した巨体に深々と剣を突き立てた。
「グギャアァァーー!」
断末魔を残してアクオメンタスは消滅した。リンクは少し焦げた帽子を被り直すと、深く息を吐いた。
最深の部屋には金色に輝くトライフォースのかけらがあった。リンクはかけらを手にすると頭上へ高々とさし上げる。トライフォースの光は部屋全体を覆い、リンクを包み込むとそのまま弾けるように消えた。
◇
あまりの明るさにリンクは目を細めた。風の匂いと日の光の温かさがリンクの傷に染みる。
(地上に出たのか)
リンクは手にしたままだったトライフォースのかけらをまじまじと眺めた。それは物質というには存在感を持ち、生物と呼ぶにはあまりに無機質。ただ、触れていると力がわいてくるような不思議な魅力があった。
先に隣接した西の部屋へ入ると、蝙蝠の群れがリンクに襲い掛かってきた。不規則に飛ぶ蝙蝠が光の刃により一匹、また一匹と墜落していく。最後の一匹が地面に叩きつけられた時、辺りに甲高い音が響いた。それはごくシンプルな形の鍵だった。
(どおりで見つからないはずだ)
リンクはほこりまみれのグローブで鍵を拾い上げる。先端に付着した糞に気付くと、さりげなく石像に擦りつけてから道具袋へ入れた。
東の部屋でも同じ鍵を手に入れたリンクは入り口正面の扉に鍵を差し込む。扉は鍵を吸い込むと重々しい音と共に奥へ続く道を開放した。
しばらく進んでいくとリンクの目の前に新たな扉、シャッターが立ちはだかる。
(鍵穴がない?)
近くの壁や柱を調べてみたが、仕掛けらしきものは見当たらない。リンクは少し休憩しようと中央のブロックに背を預けた時だった。
(ん? なんだこれ、動くのか?)
リンクはブロックを思い切り押してみた。するとブロックはゆっくりと動き出し、ある地点まで移動させるとシャッターが勢いよく開いた。
シャッターの奥の光景にリンクは言葉を失った。魔物が巣食う迷宮に人間が、しかも老人がたったひとりでいたことの驚きからだった。
リンクは恐る恐る老人に近づく。
「あの、こんなところでなにを?」
老人はリンクの声にゆっくりと視線を向けた。
「お金がなくなれば、矢は使えない」
老人はそれだけを言うと、だんまりを決め込む。
「はぁ」
弓も矢もないリンクにとって、その助言は的外れでしかなかった。
(このじいさん、ボケてるのかな?)
怪訝な表情を浮かべるリンク。老人は背を向けて戻ろうとするリンクを横目にぼそりとつぶやく。
「貧乏人に話しても無駄か」
遠ざかる足音がピタリとやんだ。次の瞬間、怒りに震えるリンクが無言のまま老人に光の刃を放つ。直撃したかに見えた一撃はすんでのところでかき消されていた。
「ふん、ケツの青いガキが。わしに牙を剥くとは百年早いわっ!」
老人の両脇にある炎が勢いを増すと、そこから収縮された魔力が矢継ぎ早に打ち出される。
「うそぉっ!?」
リンクは弾幕の中から脱兎のごとく逃げ出す。老人は小さく欠伸をするとリンクの慌てふためく姿をせせら笑った。
予想外の反撃を受けたリンクはぼろぼろになった体を引きずって歩く。傷は魔物から受けたものの比ではない。
(何者なんだ、あのじいさん)
閉じたシャッターにうっぷんを晴らすとさらに奥を目指した。マップを拾い、そこから北へ向かうと隠し部屋に弓を発見した。
(……)
リンクはあからさまに顔をしかめたが、なにかを忘れるように頭を振ると元来た道を引き返した。
「お?」
リンクは床に落ちていたブーメランを手にする。魔物の落し物らしかったが、せっかくなので持っていくことにした。射程距離は短めだが体力が減っている時には助かるし、なにより楽しいというのが一番の理由だった。
◇
リンクはその部屋に入った瞬間から異様な緊張感に包まれていた。鳴き声がする。それも壁越しながらかなりの大きさで部屋全体が振動する。
(宝の守護者ということか)
リンクは扉の鍵を開けようとしたとき、なにか気配を感じて横を向いた。すると外壁から巨大な手が染み出すように現れ、リンクに襲いかかるところだった。リンクは後退しながら冷静に剣を払い、手の化け物を撃退する。
「あぶない、うしろ!」
その声に反応して振り返ると、さっきと同じ巨大な手が間近まで迫っていた。
「こいつ!!」
体勢を整える余裕がないと判断したリンクは横っ飛びで距離を取った。すると巨大な手はリンクに近づこうとはせず、そのまま壁の中へ消えていった。
「どうなってるんだ?」
「あいつらは壁のまわりでしか動けないのよ」
リンクは首を巡らせて声の主を探した。だが、その存在を捉えることができない。
「ここよ」
見上げると妖精が腕組みをしていた。ピンク色の癖っ毛を揺らしながらリンクの肩に乗る。
「助かったよ、フィー」
「それはお互いさま。あたしも手のお化けに捕まっていたの」
フィーネはぽりぽりと頭をかいた。
「しかし、本当にフィー以外の妖精は口を利いてくれないんだな」
「それはそうよ。あたしが変わってるだけ」
「どうしてフィーは僕に声をかけたんだい?」
「どうしてってそれは――」
フィーは言いかけてすぐに全身を硬直させる。断続的に響く吼え声がまた一帯にこだまする。
「あいつと戦うんでしょ? じゃあ目を閉じて」
リンクは言われた通りにすると、体中から疲れと傷が薄らいでいくのを感じた。
「またね」
脳裏にフィーの姿が現れて弾けた。菜の花のようなフィーの匂いがリンクの緊張を解きほぐしていく。
「……いくか」
目を見開くと扉に鍵を差し入れた。先ほどとは比べ物にならない咆哮が耳をつんざく。一角獣アクオメンタスがそのグリーンの巨体をあらわにした。
リンクは素早く間合いをとると、光の刃で先手を打つ。アクオメンタスも雄叫び上げながら複数のビームを同時に放っていく。リンクはすんでのところでかわすとまた一撃、二撃と加えていく。
(これならいける)
相手の攻撃を見切れると確信したリンクは間合いを詰める。だが、グリーンモンスターはその油断を見逃さなかった。
「ぐぅっ!」
ビームはリンクの肩を捕らえた。飛び退きながら剣を振るうが体力が充実していないために光の刃は出せない。ブーメランを投げてみるが焼け石に水。アクオメンタスの攻撃は両サイドにも及ぶため、迂回して接近するのは難しかった。
防戦一方のリンクは辺りを見回した。後方にはビームによって抉られた床の破片が散乱している。その時、リンクの脳裏にあるひらめきがはしった。
(賭けだけど、それしかない)
アクオメンタスがビームを発射した瞬間に合わせてリンクは突進する。姿勢を限界まで低くするとそのまま前方へ飛び込んだ。ビームは帽子を弾いただけで後方へそれる。リンクは肉薄した巨体に深々と剣を突き立てた。
「グギャアァァーー!」
断末魔を残してアクオメンタスは消滅した。リンクは少し焦げた帽子を被り直すと、深く息を吐いた。
最深の部屋には金色に輝くトライフォースのかけらがあった。リンクはかけらを手にすると頭上へ高々とさし上げる。トライフォースの光は部屋全体を覆い、リンクを包み込むとそのまま弾けるように消えた。
◇
あまりの明るさにリンクは目を細めた。風の匂いと日の光の温かさがリンクの傷に染みる。
(地上に出たのか)
リンクは手にしたままだったトライフォースのかけらをまじまじと眺めた。それは物質というには存在感を持ち、生物と呼ぶにはあまりに無機質。ただ、触れていると力がわいてくるような不思議な魅力があった。
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